こだわり、といえばそれまでなのかもしれない。
先日、ぼくが担当した設計について、簡単なレポートをクライアントに提出したところ、担当の方に大変喜んでいただけた。自分のようなフリーランスの立場からすると、自分のスキルや知識、学びをクライアントに提供することは、クライアント企業のスキルアップつながる一方で、場合によってはぼく自身の仕事を減らすことにもなりかねない。
それでもやっぱりぼくは学んだことは資料にまとめておきたいし、せっかく資料にしたからには他の人の役に立ててもらいたいのである。これは、ぼくのひとつのこだわりなのだ。
技術資料へのこだわり
たとえば、前職では「技術資料」というものを、ぼくはやたらと丁寧に書いていた。技術資料とは、製品開発の過程で得た知見や学びをレポートとして社内に残しておくものである。
表紙のフォーマットは決まっているが、中身の書き方は個人に委ねられている。データのみを載せる人もいれば、文章までしっかり書く人もいる。同じ技術資料でも、書き手によってスタイルには差があった。
そんななか、ぼくはおそらく事業所で一番と言っていいほど、丁寧に技術資料を書く人間だった。背景と目的。どのような実験を行ったのか。解析はどのように行って、どんな考察をしたのか。図もシンプルかつわかりやすいように工夫した。
5年後の自分が読んでも理解できるように。いまの開発内容をすっかり忘れた状態の自分が読んだとしても、「うんうん、確かにこんなことをしていた。なるほど、こんな発見もあったのか」と納得できるようにしておくことが、ぼくの隠れたテーマであった。
最初は自分のために
このこだわりはどこから生まれたのだろう。
おそらく、一番の理由は「自分のできることを増やしたい」という思いだったのだろう。
やったことを忘れても、すぐに思い出して他に活用できるようにするために。あるいは資料にすることで(アウトプットすることで)、曖昧だった知識を、人に伝えられるくらい確かなものにするために。
つまり、このこだわりは、誰かから求められてやっていたわけではなく、自分自身のために続けていたことなのだ。
強みとは
よく、才能や強みとはなにかという文脈のなかで、「多くの人にとっては苦になるけれど、自分にとってはそこまで苦じゃないこと」が強みや才能だと言われる。
自分の強みは「資料にしていくこと」なのか、と少しがっかりする気もするけれど、ひとまず、「資料化する」「知識として資産化する」ことを、自分の強みや才能だと信じて、やってみることにします。
それが、ぼくがミッションに掲げる「エンジニアが活躍する場をひとつでも多くつくる」ことに繋がると信じて。
