「静かな退職」という言葉をネット記事で見かけた。
静かな退職とは以下の通り(ChatGPTの説明)
「静かな退職」(Quiet Quitting)とは、従業員が実際に退職するわけではなく、業務に対する意欲や積極性を失い、最低限の仕事だけをこなす状態を指します。この現象は、仕事とプライベートのバランスを重視し、過度な労働を避ける姿勢から生まれています。
この言葉は、2022年にアメリカのキャリアコーチがSNSのTikTokで使用したことがきっかけで広まりました。その後、仕事とプライベートのバランスを重視する若い世代を中心に共感を呼び、世界中で注目されるようになりました。
「静かな退職」に対する反応は多様で、共感と問題視の両面があります。多くの人々が、過度な労働や「ハッスルカルチャー」に対する反発から、仕事とプライベートのバランスを重視する「静かな退職」に共感しています。一方で、企業側や一部の専門家は、「静かな退職」が生産性の低下やチームワークの崩壊を招く可能性があると懸念しています。
このように、「静かな退職」は共感と問題視の両方の視点から議論されており、働き方や企業文化の見直しを促す契機となっています。
どのような力学が働くか
思えば学生のころぼくは、アルバイトでは「今日は忙しくないといいなあ」と考えていた。カラオケのアルバイトでは、お客さんは来ないほうがラクだし、ピザ配達のアルバイトのときだって暇な方がいい。なぜなら、忙しくても暇でも、時給という報酬は変わらないのだから。
しかしお店にとってみれば、お客さんが来ないのは困る。お店は売上から経費を引いたぶんが利益になり、経費のなかには当然アルバイトの給料も入っている。だからアルバイトにはたくさん働いてほしいと思うものが自然である。つまり、お店とアルバイトでは向いている方向が真逆なのである。
もちろんこのような環境のなかでも一生懸命に働く人が「いい人」なのだし、「かっこいい人」だと思う。しかし、全員にこれを求めるのは無理があるとも感じている。
個々人の人間性や倫理観に頼るのではなく、いま自分がいる環境にどのような力が働いているのか。状況を俯瞰して眺める必要があるように思う。
見えざる手を見ようとする
やればやった分だけ損した気分になるし、やらないほうが得した気になる。
たくさんやらせたほうが得になり、やってもらわないと損をする。
問題の根本原因はここなのである。
会社側にはたくさん「働いてもらったほうがいい」という力学がどうしても働いてしまう。これは会社が悪ということではない。現状の制度では会社にはこのような力が働いてしまうということを知っておくことが大事なことである。
自分に、あるいは会社や他者にどのような力が働いているのかを冷静に感じ取る。その人や会社に原因があるのではなく、その背景にどのような力学が生じているのかを眺めてみる。
自分も他者も自然と気持ちのいい方向に動けるように、見えざる手を設計する。いまこの見えざる手の設計が社会全体で問われている気がする。
フリーランスに働く力学
ではフリーランスという働き方ではどのような力学が働くのか。
実は月契約という働き方をしているフリーランスに働く力学は、正社員やアルバイトと大きく変わらない。しかし、正社員との大きな違いは、契約主(会社側)から報酬額に見合わないとみなされれば、契約はなくなることである。プロ野球選手のように、次の契約があるかどうかは自分の働き次第であり、それは一定の無理する方向に力が働いているようにも思う。
自分が気持ちよく働き、会社にとってもうれしい。どのようにすればそうなるのか。
解決方法のひとつは、「一緒にやった活動のなかで得た利益を分かち合う契約」にあると思っています。ぼく自身もフリーランスの契約内容について、改めて考え直す時期にきています。