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【今週の気づき】失敗のダメージコントロール

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【今週の気づき】とは、社内風土改革と称して勝手に始めた社内メルマガ(執筆は業務時間外)の内容を、社外秘を含まないよう一部加筆修正してブログ化したものです。

人生に失敗し始めていることには薄々気がついていた。しかし、その原因が何なのかわからずにいた。火曜日の朝、出社して渡り廊下に貼ってある「今日のひとこと」を見ると、そこに人生の失敗の原因が書いてあった。

「人生に失敗がないと、人生を失敗する」

目からうろこである。人生に失敗するのは、失敗が足りないからだというのだ。「じゃあ、さっそく失敗しましょう」となるのだが、でもやっぱり失敗によるダメージは減らしたいもの。失敗のダメージで再起不能になることは避けなければならない。ということで今週は失敗のダメージコントロールついて考えてみた。

ミスと失敗の違い

そもそも失敗とはなんだろうか。失敗がわからなければ失敗のしようがない。失敗の輪郭を掴むために、失敗と似た言葉である「ミス」との違いを考えてみる。下記、ミスとつくものと、失敗とつくものに分けてみた。

ミス失敗
野球捕球ミス
送球ミス
走塁ミス
盗塁失敗
バント失敗
スクイズ失敗
サッカーパスミス
シュートミス
クリアミス
PK失敗
仕事設計ミス
発注ミス
実験失敗
開発失敗

① ミスは「過程」、失敗は「結果」

PKで考えてみると、「キックミスでPKを失敗する」というのはありそうだ。しかし、「キックミスしたけどPKは成功する」という場合もある。さらに、「キックミスしてないのにPKを失敗する」こともある。ミスは過程であり、失敗は結果と捉えることができる。また“過程が完璧であっても失敗することもある”のもポイントだろう。

② ミスは「前提」、失敗は「前提にない」

野球にはエラーはつきものだ。当然エラーは無い方が良いが、エラーがない前提では試合をしない。むしろエラーがある前提で、カバリングなど普段から練習をする。それはサッカーでも同じだろう。一方で盗塁失敗、バント失敗など、失敗を前提とした練習はしない。もちろん失敗の可能性があることも知っているが、失敗前提の戦略は立てにくい。

③ ミスは「躓き」、失敗は「行き止まり」

設計ミスや発注ミス、ミスによる遅れが生じることもあるが、挽回可能である。一方で、実験失敗や開発失敗はそこで終了という響きがある。戦略や方針を変える必要も出てくる。

失敗は重たい

以上から、失敗とは、想定したくない結果であり、行き止まりである。そう考えると失敗は重たい。

元サッカーイタリア代表のロベルト・バッジョはPKを失敗した同僚に以下の言葉をかけて慰めたらしい。

「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持つものだけだ」

この言葉は感動的で素敵なのだけど、残念ながら今必要なのは慰めの言葉ではなく、事前の確実なダメージコントロールである。人生を失敗しないためにも、これからいくつもの失敗を経験する必要があるのだが、それらすべてを正面から受け止められるハートは持ち合わせていない。重たい失敗を軽くするのが最優先事項である。

ダメージコントロール

上記の失敗の要素からダメージを軽減することを考える。

① 期待値を数値化する

失敗は結果である。過程が完璧でも失敗することもある。必要以上にダメージを受けないためにも、結果だけを確率的に把握しておくことは大切だ。表に記した失敗例は、実際の成功確率よりも期待値が高くなっている印象がある。この乖離は失敗のダメージを大きくする。期待値を下げる意味でも、冷静に数字を見てみる必要がある。なぜなら数字は嘘をつかないからだ。

スクイズの成功確率を調べてみると、なんと48%だそう。
http://www.baseball-lab.jp/column/entry/29/
思っていたよりも全然低い。50%を下回っている。大事なことなので2度言うが、数字は嘘をつかない。この数字を自分で知っておくこと、そして周りにも知らせておくことが大事である。

同じようにPKの成功確率も調べてみた。成功確率は81%だそうだ。
http://fxconsulting.jp/gyanburu/supo-tu/pk.html
おかしい。これはちょっと高すぎる。おそらく、これは嘘である。数字が嘘をついている。だから78%と言っておこう。または79.8%でもOKだ。このように印象に左右されるのではなく、期待値を数値化しておくことは重要である。仕事の場合も感覚でいいので確率を数値にしておくと良い。

② 影響度を下げる

失敗の影響は状況によって大きく変わる。PKを外したら負ける。こういう場面での失敗は致命傷になる恐れがある。しかし、3点差以上で勝っているときにPKを外しても影響は少ない。こういう場面でキッカーに立候補すればいい。影響度の低い場面、ダメージのない場面で着実に失敗を重ねるのだ。姑息と言われそうだが、そんなことは関係ない。こちらは人生がかかっている。できるだけ傷つかずに失敗する必要があるのだ。ただ、それでも失敗したときにはバッジョの言葉を忘れずにかけてほしい。

③ 逃げ道を用意しておく

完全な行き止まりになってしまってはダメージが大きい。ダメージを抱えつつ新たな道を探すのもしんどい。だから予め違う道も用意しておきたい。開発失敗した時のために、別の開発を同時に進めておくことは精神衛生上重要なポイントだろう。

以上のことをまとめると以下のようになる。

① 期待値を数値化する。
② まずは小さくはじめる。
③ バックアッププランを用意しておく。

失敗のダメージコントロールの話だったのだが、仕事の基本みたいな結論になってしまった。なんともつまらない落ちで、今回の「今週の気づき」は失敗かもしれない。しかし、これで着実に失敗を積み重ねることができた。これからも、うっかり成功しないように気をつけたい。