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【今週の気づき/037】お金の未来

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【今週の気づき】とは、社内風土改革と称して勝手に始めた社内メルマガ(執筆は業務時間外)の内容を、社外秘を含まないよう一部加筆修正してブログ化したコラムである。

最近、自分のお金の使い方にちょっとした変化が起きているような気がしている。無駄遣いが多くなったとか、節約するようになったということではなく、お金を使う動機の変化だ。なぜ動機に変化がおきているのか。今週は自分のお金の使い方から、お金の未来について考えてみた。

白馬の蕎麦屋で

先週の土曜日、家から車で1.5時間ほどの白馬にスキーをしに行った。去年は1度もスキーに行かなかったのだけど、今年は調子に乗ってシーズン券を買ったのだ。今シーズン、滑りに行ったのはこれで3回目だ。きっと元は取れないだろう。でも、それでも良いと思っている。

10時頃スキー場に到着し、3時間ほど滑り、お昼過ぎにはスキー場をあとにする。こうして2~3時間だけで負い目を感じることなく帰れるのもシーズン券の強みだ。1日券を買っていたらこういう判断もたぶんできない。

お昼ご飯は白馬駅にほど近い蕎麦屋で食べると決めていた。一昨年、スキー帰りに何度か立ち寄ったことのある蕎麦屋だ。天ぷらもお蕎麦もおいしく、また子供にもやさしく対応をしてもらったことが印象に残っている。店内もきれいだし、また訪れたいと思っていたお店である。

お店に着いたのは14時前とランチには少し遅い時間だったので、やっているか心配したが大丈夫だった。お店の中に入ると、メニューは全て壁に貼られていた。店員さんに「壁のメニューから選んでください」と言われる。メニュー表の受け渡しを無くすためだろう。きっとコロナ対策だ。

白馬は今きっと大変な状況だ。観光客で最も賑わうはずのスキーシーズンでの緊急事態宣言。スキー場や旅館だけでなく、周辺にある飲食店も厳しい状況だろう。だから注文は、とりあえず一番高いものを頼もうと何となく決めていた。天ざる蕎麦を食べたかったから、一番高いメニューが天ざる蕎麦じゃなかったらどうしようかと多少不安があったけど、メニューを見たら天ざる蕎麦の大盛りが一番高かった。そのことを確認して、安心して天ざる蕎麦の大盛りを注文した。

お金への意識の変化

最近、自分の中でお金を払う動機が変わってきている。価値との交換ではなく、応援としてお金を払っている。以前からそういう動機はあったが、コロナ禍で大変な状況にいる人が目に付くようになってからこの動機がより強くなった。応援の優先順位が上がったのだ。シーズン券で元を取れなくてもいいと考えたり、蕎麦屋で一番高いものを注文しようと思うのは、自分が好きなものを応援する気持ちの表れなのかもしれない。
自分が好きなものにお金を払いたい。頑張っているお店を応援したい。こういう気持ちが強くなったのは、僕だけじゃなく、きっと多くの人がそう感じているのではないか。

お金の未来

コロナは時代の加速装置だとよく言われるけど、この、応援にお金を払うという動機も加速された結果なのだろうか。そう考えてみると、コロナ禍以前から世の中のお金のあり方が少しずつ変化してきていたようにも思う。それは、お金の「所有」から「共有」への変化だ。

例えば、ここ数年で一般化されたクラウドファンディングは本来、応援するためにお金を払う(寄付する)ことが目的だ。自分が良いと思ったプロジェクト、自分の代わりに良い世の中にしてくれそうなプロジェクトを応援するために寄付する。クラウドファンディングはお金を共有に向かわせるシステムとも言える。
また、ZOZOの創業者、前澤友作さんは「お金を世の中からなくしたい」と言ってお金を配り続けている。「お金をなくす」ということがどういう意味なのか僕にはわからないけど、お金を配るということは、お金を共有しているとも捉えられる。本当の意味でお金を全人類で共有できれば、お金はなくなるのかもしれない。

今、『人新世の「資本論」』という本を読んでいる。内容や言葉が難しくてまだ半分くらいしか読んでいないが、面白い本である。「SDGsは現代版のアヘンである」という強いフレーズから始まるこの本は、資本主義そのものを変えるべきだと述べている。SDGsの掛け声のもと、今まで通り経済成長を目指しては地球の気候変動を止められない。じゃあどうするのか。それはきっと本の後半に書いてあると期待している(書いてないかもしれないけど)。

ちなみに、『人新世の「資本論」』は2/10(水)に2021年新書大賞に選ばれた。2020年に刊行された新書の中で最高の一冊という評価を得たことになる。なぜこの本が選ばれたのか。なぜこの本が多くの人に読まれたのか。未来がどうなるのかわからないが、お金に関して、社会システムに関して、今、大きな変化の中にいることは間違いないことだと思う。