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【今週の気づき/038】小さな偶然が起きる場

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【今週の気づき】とは、社内風土改革と称して勝手に始めた社内メルマガ(執筆は業務時間外)の内容を、社外秘を含まないよう一部加筆修正してブログ化したコラムである。

すっかり家で仕事をする生活スタンダードになった。

在宅勤務にする日と、出社する日がマダラにあるとなんだかリズムが狂う。だから在宅勤務を基本としてから数カ月が経った。家で仕事をすることが当たり前となり、今では会社に行く方がレアケースになっている。

そんな中、今週の火曜日、約1カ月ぶりに出社した。1月に会社に行ったのは1度だけだったから、年を明けてから出社したのは2度目になる。在宅勤務が当たり前になった状態で会社に来てみると、不思議とこれまで見えていなかった会社の良いところが目に付くようになる。それは何気ない雑談が簡単にできることだ。そして、これらの雑談は偶然から生まれている。今週は「雑談と偶然」についての気づきである。

何気ない会話

朝、会社の入り口で同期に会う。担当している仕事について、ここが大変だとか、ここが面白いだとかを聞きながら歩く。同期と別れ居室に入ると、席に着く前に別の同僚に声をかけられる。「何かやらかしたの?」なんてちょっとしたイジリをされ、ニヤリとする。棚卸作業で行った実験室では、その場で会った同僚とブラックな冗談を言って笑い合う。休憩室で居合わせた同期とは、「最近どうよ」なんて仕事やプライベートの近況話をする。社内にはこうした、ほんの数秒から数分の何気ない会話がそこら中にある。

会社に行ったこの日、会話したことのほとんどが仕事に関係ない話だ。話す必要がなくても、たまたま近くにいたから話す。目的も結論もなく、ただ会話をする。こういった雑談は心地がいいものだ。

偶然が雑談を生む

今回、社内での雑談は全て偶然から生じていた。偶然同じ時間に出社した。偶然近くにいた。偶然居合わせた。それだけで話すことができるのだ。「偶然を装って話しかける」なんて表現があるけど、偶然があるから自然に声をかけられる。偶然というのは、会話を始めるきっかけとして、とても都合がいいものなのである。

2年前だったか、労働組合の研修に行ったときのことだ。研修が始まる前の時間に、「始まるまで雑談して待っててください」と言われたことがあった。まわりにいる人たちは、その日初めてあった人ばかりだ。「さあ雑談してください」と、急に言われても会話を始めにくい。なんとも言えない居心地の悪さを感じた。

研修という目的があり、必然的に集まった場である。そのような場で会話するには、まず偶然を探すことから始めなければならない。偶然同じ地元だったり、偶然同じ大学だったり、偶然嫌いなものが同じだったり。偶然性が高いほど雑談は盛り上がる。雑談とは偶然があって始まるものなのだ。

偶然をどう作るのか

これはもう、何度も、どこでも言われていることだが、リモートワークが浸透して雑談の価値が見直されている。休憩室での雑談が活発なほど業務効率が上がるというデータ。雑談がストレスを低減するという記事。雑談からアイデアが生まれるという実感。「やっぱり雑談は必要だよね」という世の中の流れを感じる。

しかし、「雑談しましょう」では雑談は生まれないのが難しいところ。雑談を生むには偶然が必要なのである。だから偶然をどう作るかが重要なポイントとなる。組織の中で、偶然が生まれるための仕掛けをいかにつくるか。リモートワークで偶然をどう起こすのか。ここが考えどころであり、もしかしたら次期開発テーマにもなり得るネタだ。