今週の気づき PR

【今週の気づき/056】流れを止めるな

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あれは確か小学2年生の頃だったと思う。

どういう経緯か忘れたけれど、夏休み期間中にプール教室に通うことになった。区立の室内プールでとても広かったのを覚えている。教室では泳ぎを基礎から教わる。バタ足、息継ぎ、それと背泳ぎ(腕かきなし)だ。当時の僕は泳ぐのが苦手で、背泳ぎなんてもっての外だった。どうしたらあんなに浮くのか、しかも仰向けで泳ぐなんて信じられない。

それでもプール教室に通う日は続き、たしか最終日だったと思う。最終試験みたいな形で、背泳ぎで何メートル泳げるのか計測することになっていた。僕は最終日まで背泳ぎが一度も上手くいかなかった。自分の番になり、これまで教わったことを思い返してから、背泳ぎを始める。

浮いた!

初めて上手くいった。沈まないように懸命に足を動かす。仰向けで天井しか見えないけど、進んでいるのがわかる。先生がすぐとなりで、手を背中に添えながら声をかけてくる。励ましてくれている。きっと褒めてもくれている。完全に「流れ」に乗っていた。このままずっと、どこまでも泳げる気がした。

ところが、急に不安になった。自分は一体今どこにいるのか。すごいところまで来てしまったかもしれない。また戻れるのだろうか。そんな不安が大きくなり、泳ぐのをやめてしまった。周囲を確認するために、水面に浮かんでいた体を立てたのだ。隣りにいた先生がひどくがっかりしていたのを今でも覚えている。ずっと遠くまで泳いだと思ったけど、泳いだ距離は15mほどだった。

動く理由

今週の木曜日、勤め先の社長、人事本部長、人事部長、それと元タニタの二瓶さん西澤美幸さん(オンライン参加)、僕の6人で会談をした。個人がより輝ける働き方について、タニタの個人事業主化について、その説明と話し合いをしたのだ。結果としては、概ね好評だったという感触だ。特に西澤さんの体験談は伝わるものが多く、何かが動きそうな予感もある。

会談後、二瓶さんとロイヤルホストで食事を取りながら会談の振り返りと、今後について、雑談も交えつつ話し合った。そこで、改めて質問される。
「どうして大谷さんは個人事業主になりたいのですか?」
はじめは会社での窮屈さから脱却したい思いだったのだけど、今は面白そうだからという気持ちが強い。
「今やらないと死ぬときに後悔すると思うんです。独立してもめちゃくちゃ大変で後悔するかもしれないけど、死ぬときの後悔だけは避けたいんです」
「そんな風に思える理由はなにかあるんですか?」と二瓶さんに問われる。
なんでだろうか。質問にうまく答えられなかった。けど、後で今までの行動を思い返してみると、「流れ」があるからだ、と思った。

これまでを振り返る

「このまま会社員で人生を終わらせていいのだろうか」
そう悩んでいた2019年の正月あけ、近所にあるコワーキングスペース『SENSE』に行ってみた。そこでは個人で働く人達のコミュニティができており、はじめましての僕も快く受け入れてもらう。

『SENSE』への入会を決め、何度か通っているときに、楜沢静枝さんに会う。後日、楜沢さんがFacebookで「お金があれば高級ホテルに泊まれる、勇気があればカプセルホテルに泊まれる」という投稿を見かける。それを「お金があるからできることよりも、勇気があるからできることのほうが多い」なんて拡大解釈し、入会に一歩踏み出せずにいた『GIVEの実験室』(安田佳生さん主催)というオンラインサロンに入会することを決める。

『GIVEの実験室』はその後、僕にとっては欠かすことのできない居場所にもなる。運営者の一人である栃尾江美さんにアウトプット相談を受け、ブログを書き始める。『GIVEの実験室』で知り合った折田大器さんにも毎週、ブログの校正をしてもらい、何とか続けていると、まわりから思わぬ反応をもらうようになる。

ブログは軌道に乗ってきたけど、自分の商品が見つからない。そうモヤモヤしていたところ、安田佳生さんが、『小さなビジネス開業スクール(BFS)』を開催してくれた。すぐに申し込む。そこで二瓶さんをはじめ、仲間と言える人たちと出会う。そこに、社長のトップメッセージで、多様な働き方を実現する制度について言及があり、社長に新しい制度を提案すべくメールし、会談する事となった。

流れを止めるな

「なんだ、全部つながっているじゃないか」
このまま個人事業をするのも、結局この「流れ」に乗っているのだ。この一連の「流れ」から生まれた新しい出会いや経験は、良いことばかりだった。僕の人生にとてつもなく良い影響を与えてくれている。成長の機会を与えてくれ、応援してくれる人もいる。進みたい方向に進めている。流れ自体は間違ってないと、確信めいたものもある。

「この流れのまま、新しい世界に行けば、きっといいことが待っている」

そう思える一方で、

「この流れは自分をどこに連れていくのか。自分はどこに行ってしまうのか」

そういう恐怖心もある。不安もある。初めて背泳ぎができて、天井しか見えなかったときの不安に似ているかもしれない。でもここで、この流れを止めてしまっては、それこそ死ぬときに後悔しそうな予感がする。だから今は、ただ流れを止めないようにする。人生において、そういう時期があってもいい。

立ち上がって周りを見るのは、流れが止まってからで良いのだ。