本格的に転職活動をしたのは人生で初めてである。
就職するにあたり、考えなければいけないことはたくさんある。仕事内容、年収、職場環境、勤務地、働き方。どれも大切なことだ。
これらのなかで最終的に大きな問題となるのが、会社の所在地、つまり勤務地である。転職にあたり、引越しをともなう前提だとするとなかなかに難しい問題だ。やりたい仕事で、年収が問題なくても、結局最後には勤務地の問題が残る。最大の問題と言ってもいい。
場所の問題
ぼくが実際に転職活動をしてみて、最終的に問題となったのもやっぱり勤務地だった。自分のスキルを活かせそうだし、仕事や事業内容にも興味はある。年収も問題ない。企業とカジュアル面談をしてみても双方にメリットはあるように思える。それでも勤務地によって話が先に進まないことが何度かあった。やりたい仕事と暮らしたい街が合わないという現実である。
テレワークが一般的になり、住む場所の自由度はあがっている。オンライン秘書。オンライン営業代行。ソフトウェアエンジニアのフルリモート勤務。暮らしたい街でできる仕事も増えてきている。
一方で、ハードウェアエンジニアのような実際のものをつくる仕事につく人は出社を求められ、住む場所を自由に選べないのが現実である。物をつくるんだから仕方ないと言えばその通りではある。しかし、現時点では仕方なくても、この先の未来もずっと仕方ないことなのだろうか。数年後、数十年後の未来でもハードウェアエンジニアが住む場所の自由を求めることはわがままなのだろうか。
フェーズでわける
ものづくりには段階がある。研究開発、設計、量産。前職でぼくが担当していた研究開発職では、原理確認のための試作をするが、その試作や評価はひとりで担当する。自宅に実験スペースがあれば、自宅でもできることは多いはずである。一方で、設計や量産では、複数の部署でひとつの試作品を評価する。この場合は、自宅のみで仕事するのは難しいだろう。
研究開発を専門にやる、あるいは研究開発は自宅で作業しつつ、設計や量産フェーズのみ現場で作業するなど、ものづくりであってもフェーズを考えれば場所の自由度は確保できるかもしれない。
働き方の問題
また、働き方の問題もある。現状の転職エージェントなど支援業者が想定しているのは、正社員雇用である。企業と求職者がうまくマッチングして、正社員として雇用された場合に、成果報酬として支援業者に報酬が支払われる。しかし、正社員雇用が企業と求職者の両者にとって最適解でない場合もある。
実際に、企業の現状と自分の役割を両者で話し合った結果、正社員ではなく業務委託が最適解だという結論になった企業もある。その場合、エージェントと企業と求職者は三方よしの関係でなくなってしまう。
また企業にとって、採用は金銭的なコストだけでなく、教育の時間的なコストも要する。たとえそれが経験者である中途採用であっても、会社のルール、事業の現状、仕事の手順を説明し、教育する手間と時間はかかるものである。だから企業は長期的に働ける人を求める。初期コストを回収するために、短期ではなく長期的な関係を結びたいと思うものだ。
その初期コストを肩代わりできないだろうか。企業にとってのリスクや心配事を無くし、企業と求職者にとって最適な解を導き出す新しいエージェントをつくれないだろうか。そんなサービスがあったら未来はよりよいものになるのではないだろうか。であればそのサービスを自分がつくれないだろうか。
ハードウェアエンジニアにも暮らしの自由を
だれもが自らにとって暮らしたい土地で、やりたい仕事をする未来はどうしたら実現するのか。
喉元過ぎれば熱さを忘れるというけれど、忘れる前にいま喉元にある熱さを残しておきたくて、つらつらと書いておきました。
現状のエージェントにはない、企業と人の双方に寄り添う新しいサービス、なにかアイデアがある方、話をしてみたい方は、ご連絡くださいね。