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【今週の気づき/193】判断ではなく決断を

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いままでの人生の中で一番悩んだ週だった。

ぼくの進退の話である。再就職活動をして、最終的には2社からお声がけをいただいた。1社は眼科医療機器のベンチャー企業。商品コンセプトなど目の付け所に学ぶこともあり、やりがいもある。年収などの条件的にも問題ない。そして勤務条件などぼくのわがままも聞き入れてくれている。もう1社は光学メーカー。今後はレンズをつくるだけでなく、光学ユニットの設計販売も行う。その事業化に携われる。一方でぼくの希望年収には届かないため、業務委託でなら、という話に落ち着こうとしていた。この場合、働き方の自由度は上がるが、社会保険に未加入となったり、業務リスクを自分で負担しなければならなかったりと、雇用されるケースと比較すると安定性には欠ける。

この2社のどっちに行くかで悩んでいた。

選択という悩み

客観的に考えれば、眼科医療機器メーカーを選ぶべきである。やりがいもあり、年収は問題ない。最大限に評価していただいている。ベンチャー企業であり、学ぶことは多い。今後は伸びていく予感をバシバシ感じる。迷うことはないように思える。しかし、光学メーカーでは、事業化するという重要なポジションを業務委託で任せてもらえる。企業と個人の新しい関係性につながる可能性もあるし、個人事業をしていたこの3年間の集大成になる気もしている。ぼくにとってもその企業にとっても挑戦になる。そんな挑戦を望んでいる自分がいるのも確かだ。

この1週間は本当に悩んだ。『武器としての決断思考』という本にあるワークも行った。それでも結論は出なかった。むしろ1日ごとに、どっちにするのか考えが変わった。コイントスで決めようともした。それでも心は決まらなかった。もはやどう考えていいのかさえわからず、もう一生決まらないんじゃないかとすら思った。

そして迎えた眼科医療機器企業への回答期限。ぼくは眼科医療機器企業に内定を受諾する連絡を入れた。それなのに、ぼくの心はまだ落ち着かなかった。本当にこれでよかったのか。ずっとその考えが頭を占めていた。受諾後の3日間はもっと悩むことになった。

そして最終的には、内定を受託したにも関わらず、辞退をして、光学メーカーの業務委託を受けることにした。眼科医療機器メーカーには大変失礼な対応をしてしまった。回答期限の延長にも応じてくれ、ぼくの希望を最大限考慮してくれたにも関わらず、多大なるご迷惑をおかけすることになった。迷惑をかけている自分を情けなくも思った。すべて自分の未熟さが招いたことだ。少しは成長できたと思っていたけど、そんなことはなかった。自分の至らなさを痛感することになった。

後悔のない選択をするには

人生において選択しなければならない場面はたくさんある。今後はもっと難しい選択を迫られる場面だってあるだろう。選択には締切もある。そのときに後悔のない選択をするには、自分の迷いのせいで他者に迷惑をかけないようにするには、やり直しがきかない1度きりのものを適切に選ぶには、どうしたらいいのだろう。

究極の選択を迫られたとき、どうしたって判断軸はブレる。ブレないことはきっとない。判断軸を決めていたとしても、どうしたって他の要素が混ざってくる。結局は迷うのである。

選択前にはわからず、選択後にしか感じ取れないものは確かにある。そうであるならば、考えられる対策は、期限前に一度選択することである。できれば誰かにその選択を伝えることである。そしてその選択した自分で数日を過ごしてみて、そのときに自分はどう感じるのか、後悔が残らないかを感じ取る。本当に選択した気になれるのか難しいところだけど、方法としてはこのくらいしか思いつかない。

息子とのやりとり

今回、悩みに悩んだ週は息子(小6)と一緒に過ごしていました。ぼくがなにを感じてどんなことを考えているのかを息子にも共有し、相談しました。

息子からは、

「人生かかってるんだから悩むのは当たり前。悩んでいい。悩め悩め」
「副業でどっちの仕事もやるってことだってできる」
「お父さんは常識のなかで考えてるんだよ。常識の外に出たほうがいい」
「どっちを選ばないという選択もできるよ。他の会社もある」
「選んだあとに違ったと思ったら辞めたっていい」

というありがたいことばを頂戴しました。

普段は、

「ちんちんもんでいい?」(ダメに決まってるだろ)
「ケツの穴に割り箸つっこんでいいってことね!」(誰がそんなこと言った)

そんなふざけたことばかり言っている息子の様子からは想像もできないようなことばに驚かされると同時に、なんて頼りになるやつなんだという発見もありました。

そして、内定受諾後に辞退したくなった気持ちを打ち明け、そんな自分を情けなく思っていることを伝えると、

息子「そんなこと思わなくたっていい。世界でひとりは父ちゃんのことをかっこいいと思っている人がいるから」
父「ん? だれそれ?」
息子「ぼく。父ちゃんのことかっこいいと思ってるから」
父「ええぇ、そんなこと言ってくれるの! うれしい(涙) どんなところがかっこいいと思うの?」
息子「筋肉ムキムキなところと、会社をつくって挑戦しているところ」(実際には会社にはしてませんが)

息子のこのことばは、ぼくの宝物になりました。
もしかしたら息子は重くなった心を軽くしてくれる天才かもしれません。

なにか人生で悩みを抱えている方がいれば、息子を紹介いたします。