【今週の気づき】とは、社内風土改革と称して勝手に始めた社内メルマガ(執筆は業務時間外)の内容を、社外秘を含まないよう一部加筆修正してブログ化したコラムである。
今週、勤め先の社長のトップメッセージが更新された。
「パワハラは絶対に許さない。対人能力が不十分な人間に管理職をやる資格はない。パワハラしないと業績が伸びないような管理職は降りてもらう」という強いメッセージだった。
また同時に、パワハラにならないためのコミュニケーションについても書いてあった。それは、
「他者とは完全に理解できないという前提に立ち、それでも他者を理解しようとする姿勢」
が大事ということだ。
しかし、この姿勢を維持するのは言うほど簡単ではない。人間は意識だけでは変わらないものだ。では、どうすれば上記の姿勢を維持することができるのだろうか。僕の答えは「自分を深く知ること」である。
なぜ「自分を深く知ること」が、「他者とは完全に理解できないという前提に立ち、それでも他者を理解しようとする姿勢」につながるのか。今週は「他者理解と自己理解」について書いてみようと思う。
他者理解を妨げるもの
他者を理解しようとするとき、その妨げとなるものは何か。それは「思い込み」や「わかったつもり」だろう。他者を自分と同質な者と「思い込む」と、他者を「わかったつもり」になる。すると、それ以上他者を理解しようとしなくなってしまう。
考えてみると、他者を自分と同質な者と思い込む要因はそこら中にある。同じ国、同じ地域に住み、同じ会社で働き、同じ社服を着る。同じ食事をとり、同じ時間に同じ空間を共有する。いつの間にか、他者を自分と同じような考えを持つ者として、わかったつもりになってしまうのだ。
これを防ぐには、他者と自分は根本的に違うという前提に立つことである。そのために、たとえ同じ空間、同じ時間を共有したとしても、人間は資質という根っこの部分から『違い』があることを、肚から理解する必要があるのだ。実は先日、自分は他者とは根本的に違うことを、肚から理解する経験をした。
ストレングスファインダー
3週間ほど前、ストレングスファインダーを受けた。ストレングスファインダーとは自分の強み(資質)を見える化してくれるものである。ここで言う強みとは、ものごとの見方、考え方、人との接し方、これらについて、自分が無意識にやっている特徴(資質)のことだ。
つまり、自分の心や行動のクセのようなものがわかるのだ。
参考に僕の結果を示す。
強みは大きく4つに分類される。
「実行力」「影響力」「人間関係構築力」「戦略的思考力」である。
結果を見ると、戦略的思考力に関わるものが、トップ10のうち6つ、トップ5のうち4つ入っていて、僕の資質が思考に偏っていることがわかる。
ちなみに上位5つの簡単な説明は以下の通り。
- 最上志向:(影響力) 自分も他者も長所を伸ばそうと思いがち
- 内省:(戦略的思考力) 深く考えるのが好き
- 学習欲:(戦略的思考力) 成長したい欲が強い
- 着想:(戦略的思考力) アイデアを考えるのが好き
- 戦略性:(戦略的思考力) 別の選択肢も考えがち
占いではないので当たり前だが、これが良く当たっている。例えば、僕がこのコラムを書く動機は、上位3つの組み合わせでできている。
- 書くことで深く考えられる(内省)
- 考えることは自分を成長させる(学習欲)
- 考える力は自分の特徴であり、それをさらに伸ばしたい(最上志向)
自己理解がもたらすもの
ストレングスファインダーをやった後、オンラインコミュニティのメンバーで、強み診断士の資格を持つ中憲太郎さんに、ストレングスファインダーの結果をもとにした強み診断をしてもらった。強み診断では、それぞれの資質の解説に加え、対話の中で資質と過去の経験を紐づけていく。「こんな経験ありませんか?」「こんなことやったりしませんでした?」と質問してくれて、その質問の答える中で、自分の資質がストンと肚落ちする感覚が得られる。そして自分は普通とは違うのだと気がつくと、不思議と他者への許容範囲が広がる感覚が生まれたのだ。
なぜ、自分の資質が肚落ちすると、他者への許容範囲が広がるのか。それは、他者も自分と同じように、特徴的な資質を持つことに気がついたからだ。資質(強み)とは、他の人には無い特徴のことである。自分の資質が肚落ちするとは、自分と他者は決定的に、根本的に違うのだと理解することでもあり、自分が普通ではないことに気づくことである。そのことに気がつけると、他者も自分と同じように、その人独自の資質を持っていることが理解できる。自分のことを深く知るからこそ、目の前の人、または自分のまわりにいる人、その人はどんな資質を持ち、どんな才能を発揮しやすいのかに興味が向くのだ。
だから、他者理解するためには、まずは自分を深く知る必要がある。自分はどんな人間で、何に心が動き、どんな偏りがあるのかを知る。決して自分は普通でないことに気づく。すると、他者も同じように普通でないものを持っていることが想像できる。自分を深く知るからこそ、他者への許容範囲が広がる。
他者理解は自己理解から始まるのだ。