やっぱり「現場」なのだろう。
今週、一緒にお仕事させてもらっている『(有)神輝興産』の仕事に一日密着させていただいた。神輝興産は橋梁点検事業をする会社で、今回は橋の点検のための「下見作業」に同行させてもらい、その様子をカメラで撮影した。
その仕事内容は、ぼくが想像していたものとは大きく違ったし、自分の目で見て聞かないと感じ取れなかったものは多い。やっぱり現場に出向くことには、お金や時間をかけるだけの価値がある。ということで今週は、「言葉にできないものの価値」についての気づきである。
「下見」の密着
下見と言っても、ただ橋を見に行くのではない。目的は点検計画を立てるためであり、点検方法、点検車両の選択、必要な点検道具の洗い出し、工程の策定。点検の工程や時間を見積り、作業の計画を立てるものだ。
現場に車が入れなかったり、必要な作業ができなければ手戻りが発生してしまう。そのためとても大切な作業だ。
なので「下見」という言葉の軽やかさとは違い、障害物の有無や破損状況の確認。橋の高さや幅、また橋の下の道路幅の測定。カメラで橋全体や部分の撮影など、作業内容は意外と多い。
アナログという課題
「橋梁点検業界はアナログであり、非効率なことが多い」
そう言われることがある。ただ、この言葉だけを聞いたとき、たとえばドローンを使えばいいのではないか、A.I.(画像認識)を使えば自動で判別できるのではないか、最新のデジタル技術を使えばアナログに起因する問題は、簡単に解決できるのではないか。そんな風に思っていた。
しかし、そう簡単な話ではないことがわかった。
たとえば撮影した写真の整理がある。どの橋脚を撮影したのか忘れないために、橋の撮影前に手のサインを撮り、これからどの橋脚を撮影するのかわかるようにする。また、橋の撮影箇所がわかるように写真ファイルの名前を手作業で入力する。こういったアナログな作業が多いのだ。これは現地に行って、同じ時間、同じ空間でその空気を感じないとわからないものだ。
言葉にできないものに合わせる
密着が終わったあと、社長さんに和食屋さんに連れて行ってもらった。カウンターで横に並び、食事とお酒(ぼくはウーロン茶だけど)をごちそうになる。そのお店ではお酒をお客さんが選択するのではなく、大将が「最初はこのお酒」、「次はこのお酒」とグラスに注いでくれる。
食事後、大将にどうやってお酒を選んでいるのか聞いてみると、お客さんの好みや、その日のお客さんの雰囲気、料理に合わせて選んでいるのだそうだ。
お客さんの好みこそ、同じ時間と同じ空間を共有するからわかる。「30代、男性、商社に勤め、休日は家族と過ごし、趣味は登山」という情報だけでは、お客さんのその日の状態はわからないし、ましてや日本酒の好みなどわかりようがない。
料理やお酒に対する絶対的な自信もあるのだろうけれど、やはり自分の目で見て聞いたもの、感じたこと、「現場」だからこそわかるものがあるのだ。
オンラインでの情報が溢れ、リモートでも働ける時代になったからこそ、言葉にできないものの価値が高まっているのだ。
さて、今回の密着ではとても大きな収穫を得たと感じている。密着によって感じた課題を解決するべく、動いていくことにします。
今週のいちまい
大将が出してくれたとっておきのお酒。
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