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【今週の気づき/162】あり方を引き継ぐ

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前職で、とてもお世話になった人がいた。

入社3年目のころ、ぼくは当時の上司との関係が悪くなり、思い悩んでいた。会社に行くのが嫌になり、辞めることも考えていた。とても精神的にはつらかった時期だ。もうどうせ辞めるのならばと、その当時となりの課の課長だった方に連絡をした。「ぼくを部下にしてくれませんか」とお願いするためだ。

となりの課ということもあり、連絡会や飲み会などは合同で行われていた。その集いにおけるその人の部下への接し方、連絡会での話、飲み会での騒ぎ方など、人としてとても尊敬でき、その人のしたで働きたいとずっと思っていたのだ。

そのとなりの課長はこころよく引き受けてくれた。そしてぼくはその上司のしたで働くことになった。

上司とのエピソード

その人はぼくを信頼してくれていた。ぼく以上にぼくを評価してくれた。会社では目標管理面談という上司との面談があり、そこでその年の査定が決まる。面談は自分をアピールする場であり、多少の緊張感がただようし、少し億劫なものだ。でもその上司との面談は自分を信頼してくれているのが伝わるものであるため、億劫さは微塵もなく、むしろたのしみであった。普段から自分のすごさをアピールする必要がなくなり、目の前の仕事に集中できた。もっとも成長できた時期でもある。

また、その上司は飲み会で誰よりも率先してふざける人だった。下ネタも言うし、言い方は悪いが、馬鹿になれる人だ。仕事では部下全員を「さん」づけで呼ぶ。しかし、飲み会になると部下を呼び捨てや「ちゃん」づけで呼んでいた。呼び捨てといっても上からの言い方ではなく、親しみや仲の良さを感じるものだった。ぼくは自分も呼び捨てで呼んでほしいと思ったし、実際に呼び捨てにされたときにはうれしかった。

主任試験を受けたときだ。

結果は上司から伝えられる。結果を伝える面談のなかでその上司はすごく言いづらそうに結果を伝えてきた。結果はダメだった。ぼくは試験の面接の受け答えで失敗した自覚があったから、落ちる可能性も十分にあると思っていた。それでも、もしかしたら受かってくれていればいいなという期待はしていた。

結果を聞き、ショックは受けた。でも大きなショックではなかった。なぜなら目の前で結果を伝えてきた上司が、ぼく以上に悔しがっていたからだ。「わかってねえなあ」と「なんで落とすんだ」と。ぼくが「まあまあ」となだめるくらいだった。

尊敬する人を引き継ぐ

その上司と離れて、もう8年くらい経つ。

今週、ある人との会話のなかでふと、自分がその上司っぽい言葉を言っていることに気がついた。それは本当にささいなひとことであり、印象に残らないようなものではある。けれど、「あ、いまの言い方、あの人っぽかったな」と、自分のなかにその上司がいることに気がつき、うれしくなったのだ。

姿勢を学ぶ

人に向き合う姿勢とか、相手を尊重するとか、やさしくするとか、言葉では理解できるけど、じゃあ具体的にどうすればいいかと言われるとよくわからない。こればかりは、自分が体験しないとわからない。自分がされてうれしかったことを真似するしかないのだ。

姿勢だとか、向き合い方とか、場面ごとの振る舞いだとかは、同じ空間をともにしないと学べないもののひとつだと思う。オンライン化が進むほど、こうした同じ空間でただ一緒に入られる価値は高まっていくのだろう。

その上司は以下のことを教えてくれた。

「『本音を言う』と『なにを言ってもいい』は違う」
「どうせやるのなら楽しく」
「来る仕事は拒まない」

あと、ついでにこんなことも言っていた。

「出張先は行き先(どこに行きたいか)から決めるんだ」

ああ、これを書いていて、その人に会いたくなりました。また食事に誘ってみることにします。


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