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【今週の気づき】予想と想定の間

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【今週の気づき】とは、社内風土改革と称して勝手に始めた社内メルマガ(執筆は業務時間外)の内容を、社外秘を含まないよう一部加筆修正してブログ化したものです。

「先が見えない世の中」
と言われることがある。「先が見えないと不安だ」というように、主にマイナスの文脈で使われることが多い。しかし先が見えることは本当に良いのだろうか。先が見えることを退屈に思わないだろうか。先が見えないから面白いというところもあるだろう。ではどこまで見えていればいいのだろうか。「先が見える」とは、「想定できる」と言い換えできるだろう。ということで今週は、「想定」について考えてみる。

ルンバの仕事ぶり

去年の5月ごろにルンバを購入した。充電器と一体になっているクリーンベースというところにごみを集積できるタイプで、ルンバ自体のメンテナンスもほとんどしなくていい優れものである。14万円もした。
購入前は、「これは時間を買うんだ」とブツブツと念仏のように唱えてからAmazonでポチっとしたものである。普段は自分が不在のときに掃除する設定のため、ルンバの仕事ぶりをまじまじと見ることはない。しかし、今週はルンバの稼働日に設定している木曜日も在宅勤務としていたため、ルンバの仕事ぶりを肌で感じることになった。

ルンバの予想外の動き

設定した15時になると「テンテテンテンテン♪」と軽快な音を鳴らしてルンバが動き出す。仕事部屋から一番遠い寝室から掃除し始め、続いてリビングへと動く音が聞こえる。しばらくして仕事部屋にルンバが入ってきたところで、僕はリビングで少し休憩をとる。

インスタントコーヒーを飲み終え仕事部屋に戻ると、ルンバは机の下を掃除しているところだった。掃除しやすいように椅子をどかし、掃除し終えるのを待ってから椅子に座る。ルンバは机の近くの壁沿いを掃除した後、部屋から出ていった。
リビングの方で掃除している音がする。おそらくキッチンあたりを掃除しているのだろう。しかし、僕がパソコンに向かい仕事の続きをしていると、またルンバが近づいてくる音がして、部屋のドアからルンバが入ってくる。
「え? また来るの? なんで?」
そう思ったが、僕はまた椅子をどかし、ルンバが掃除しやすいようによけてあげる。ルンバは机の下を念入りに掃除して、リビングの方へ消えていった。

なぜ戻ってきたのか、なぜ1回で部屋全体を掃除しなかったのか、謎である。しかし、この無駄とも思える動きに愛着を感じ「コイツかわいいな」と思ってしまったのも事実である。

予想外は面白い

人は予想外が好きだ。映画、ドラマ、スポーツ。全てが予想通りではつまらない。予想外があるから面白いと思える。わざわさ「予想外の結末」を観に行くくらいである。人は予想外を求めているのだ。
ルンバも予想外の動きをしたから「あれ?」と注目した。そのあとに足元を念入りに掃除している姿を見て愛着を持った。これが予想外の動きをせず、全て効率的に動いていたら、愛着を持つこともなかったかもしれない。

想定外は面白くない

一方で予想を大きく超えてしまったら面白いとは思えない。恋愛映画にいきなり宇宙人が出てきたら興ざめしてしまうし、スポーツでも怪我人が続出した試合は後味が悪いものである。ある種の約束事や条件を超えることは予想外ではなく想定外になってしまうのだ。そして人は想定外のことは面白いとは思いにくい。

予想と想定の間

予想と想定を広辞苑で引いてみると下記のように書かれている。

予想:物事の成り行きや結果を前もっておしはかること。
想定:ある状況・条件などを仮に考えてみること。

予想外とは、一定の条件の中でちょっとだけ成り行きや結果が予想を外れることなのだ。条件や大枠は守りながら、ほんのちょっとだけはみ出したもの。こういうちょっとした予想外が日々の生活をちょっと面白くするのである。予想以上、想定以内。ここに人が面白いと感じるポイントがあるのだろう。

ではこれを日々の生活の中に活かすにはどうしたらいいのか。それは無意識のうちに設定してしまった条件を取り払い、想定の範囲を広くしておくことだろう。そして、日々の生活の中でちょっとした予想外を見つけてみる。これが人生を面白く生きるコツかもしれない。