高校野球の引退。
高校3年の夏、甲子園予選に敗れ野球部を引退したとき、自分の唯一の活躍場所がなくなったと感じて、受け止めきれずにいた。高校1年の秋からレギュラーで試合に出してもらうようになり、ほとんど野球をするために高校に通っていたと言っても過言ではない。野球さえすれば勉強しなくてもいいと勘違いしていた。野球部だけが自分の活躍の場所だった。しかし、最後の大会で敗れてその場所を失い、初めて喪失感を味わっていた。ストレスでアトピーも出た。人には「活躍できる場所」が必要なのだ。
人から与えられた場所は、自分の意思に関係なく失う可能性がある。そうならないためにも、自分の活躍できる場所は自分で作る必要がある。では、どうやって自分が活躍できる場所を作れるのか。今週は「活躍できる場所」についての気づきである。
最後の勉強会
今週、会社での最後の勉強会を開催した。この勉強会は去年の6月から月1回の頻度で開催してきたもので、今回で14回目だ。始めたきっかけは、去年の春ごろに退職を意識し、お世話になった会社に対して、仕事で得た知識を形として残せないかと考えたことだ。言ってみれば、知識の引き継ぎが目的だった。
やり方も従来の勉強会とは変えてみた。
・なるべく多くの人に引き継げるように、課のメンバー全員が集まる連絡会の中で行うこと
・強制的に聞かされる人が飽きないよう、勉強会の時間を5分に限定すること
・退屈にならないよう、クスッと笑えるような面白ポイントを1つ入れること
最後の勉強会をやり終えてみると、やっぱり寂しさが残る。勉強会の内容を考えるのは大変だし、5分に収めるために説明をシンプルにするのも苦労する。それでも、いつしかこの勉強会は自分の活躍できる場となっていて、それが無くなるのが寂しかったのだ。
自分を活かす制限が活躍の場を作る
引き継ぎや、知識の資産化が目的であれば、勉強会でなくてもいい。レポート形式の技術資料にしてもいいし、最近であれば動画にしてもいい。なぜ勉強会という形をとったのか。なぜ5分という制限と、面白ポイントを入れるルールを自分に課したのか。
これはほとんど無意識でやっていたことだけど、自分が得意なことや、苦にならないことを選択していたのだと思う。例えば僕は、人前で発表することをあまり苦にしない。そのため勉強会という形式を自然と選択できた。また、僕は物理的な現象を解き明かすのが好きであり得意だ。理解した事象を、ポイントを絞ってシンプルに説明するのも好きだ。つまり、5分という制限も、僕にとっては自分に有利な制限だ。さらに、面白ポイントについても同じだ。僕は普通から少し外れたことをやるのが好きだったりする。
知識を資産化するという目的を効果的に達成できるよう、自分に制限やルールを課した。その制限やルールが、自分の強みを活かすこととなり、結果として自分が活躍できる場所となったのだ。制限やルールが自分の活躍の場所を作ったのだ。
ビジネスとは自分が活躍できる場を作ること
自分のビジネスをする。そう考えると、「儲かるのか?」とか「発展性や将来性はあるのか?」とか、難しいことを考えてしまう。でも、儲かるとか、将来性とかの前に考えるべきことがあるのではないか。それは、自分が活躍できる人の役に立ち、貢献できる場所を作ることだ。
ビジネスにルールはないと言われる。法律を犯したり、他の人を傷つけなければ、制限はない。しかし、逆に制限がないからこそ自分と他者の違いを出しにくいし、自分の強みを活かしにくい。だからこそ、自分で自分に制限やルールを課す必要がある。目的を達成するために、あえて自分に課す制限は、自分の強みを際立たせるものなのだ。
高校時代、野球で活躍できた(と言っても弱小の高校ですが)のは、野球というルールが自分に合っていたからだ。ボールを取る、投げる、打つ、走るのが好きで得意だったから。自分に合ったルールだから活躍できたのだ(何度も言いますが弱小の高校です)。
会社の中でも、組織のルールや暗黙の制限がある。結局、野球も会社も与えられたルールなのだ。ルールに合うときは良いが、合わなくなることもあるし、ルール自体が変わることもある。だから、与えられたルールに自分を合わせるのではなく、自分に合うルールを作る方が良い。
自分に合うルールを自分で作る。これが今後の自分の課題だ。